10月の天橋立ローラースキー大会で上位入賞を目指して、スペシャルメニューの特別練習会を行った。
鳴沢村の育樹祭記念公園でローラースキーのウォーミングアップを行い、富士林道で500m×10本のレペテーショントレーニングを行う。ローラースキーで極限まで心拍数を上げるには、急な登りが効果的だ。
午後は、滝沢林道11.2km、標高差750m、富士山四合目までのローラースキーペース走を行う。天橋立コースを想定しての練習だ。コーチ車が伴走して、1kmごとのラップタイムを告げる。後半、いかにペースを落とさずに完走できるかがポイントだ。貴重な休日を使った社会人選手の練習は、いつも密度が高い。
思えば、私の学生時代は、練習する時間はいくらでもあった。朝練習に昼休みのウェイトトレーニング、そして夕方からの本練習、すべては練習を中心として一日が廻っていた。
しかし、社会人となるとそうはいかなくなった。出勤前の早朝練習と、仕事が終わってからの夜の練習しか時間的に許されなくなった。休日に太陽の下で練習できるのが嬉しかったものだ。スキー合宿も年末年始の数日間か、連休を利用するしかなかった。学生時代と比べて滑走日数は4分の1以下になった。練習時間の少なさは、焦りと不安との戦いでもあった。だが、幸いにも私は30歳を超えるまで、選手でいることができた。周りの職場の人たちの理解と協力もあったが、そのような環境で競技生活を送れたことは、ほんとうに幸せであった。
そして、今は指導者として、大好きなクロスカントリースキーに携わっている。すでに競技をできない年齢となっても、クロスカントリースキーの興奮をまじかで味わえる環境を与えられたことに、私は感謝している。
選手として練習ができる環境にいるということは、ほんとうに幸運なことなのだ。当然、健康でなくてはならないし、生活面や精神面でも、安定していなければならない。そのような選ばれし者であることの自覚と誇りを持って、社会人選手は頑張ってほしい。私は、そういう選手のそばに居られるだけで、たまらなく嬉しいのだ。
(中安強化コーチ)
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