今年は大雪だった。
長野県野沢温泉村民宿鈴森で12月17日から25日までの期間で、指導者3名、選手18名、合計21名によって合宿を行った。昨年の雪不足とは対照的に、今年は大雪だった。にもかかわらず初日は、南原クロスカントリーコースにはコースが付けられておらず、ゴンドラで上の平ゲレンデまで登る。下りは初心者コースを滑り降りる。
18日は積雪と強風のため、長坂ゴンドラが運休し、日影付近で練習する。19日より南原クロスカントリーコースが整備されて、ひと安心。宿舎からスキーを履いて行ける南原コースは最高である。
合宿前半は基礎練習とゆっくりとした走り込みとし、後半はレペテーショントレーニングによってスピード感を養い、パシュート方式によるタイムレースで仕上げて、実戦感覚を身に付けた。
本県の強化合宿では、基本的に自由である。コースでの練習開始時間やタイムレースのスタート時刻を指示するだけで、宿舎を出発する時間は各人自由である。ウォーミングアップする時間がどれだけ必要かは、選手自身で考える。
自由練習のときは、夕食の時刻だけを決めて、練習に出発する時間も帰る時間も選手の自由である。コントレも自主的行う。スキー滑走のあとのランニングは、疲労を取るだけでなく、故障の予防にもつながることを、選手自身が身体で体験する。
夕食はつらい練習の続く合宿の中では、最高に楽しいひとときである。好きなだけおしゃべりして、思い切り大きな声で笑ってかまわない。夜のミーティングはできるだけ短く終わらせ、選手に自由時間を多く与える。
合宿中の当番制も選手たちが自分たちで決める。コーチは指示しない。にもかかわらず、合宿では毎回整然とした秩序が出来上がっている。
このようにして、選手たちの精神的ストレスを最大限取り除き、短期間で充実した練習ができるように努力している。人間というものは、楽しいと思って行う行為は、そうでないときの数倍の効果を生むものである。
今回の合宿で嬉しかったことは、自由練習の日、午後2時半には全員が自主的に練習に出かけており、部屋で寝ている選手が一人もいなかったこと。練習が楽しくなってきた証拠だ。山梨の伝統は確実に引き継がれていることを実感した。
(中安強化コーチ)
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